この計算式が作られている最大の理由は、「狭い道路に、人が集まりすぎる巨大な建物を建てさせないため(交通パンクや防災上のリスクを防ぐため)」です。
棒暗記しようとすると難しいですが、「なぜ道路幅をかけるのか」「なぜ住居系とそれ以外で数字が違うのか」という理由が分かると、一気に覚えやすくなります。
1. なぜ「前面道路の幅員(メートル)」を掛けるのか?
前面道路(建物の目の前の道路)が狭いと、次のような問題が起こります。
- 大型車や大量の車が行き交うと日差しや風通しが悪くなる
- 火災や地震のときに避難や消防車・救急車の通行が難しくなる
- 道路が混雑して交通渋滞が起きる
そのため、いくら指定容積率(都市計画で決められた上限)が高くても、「目の前の道路が狭い(12m未満)なら、その道路の狭さに合わせて建物のボリューム(容積率)も抑えてね」というブレーキをかけているのです。
つまり、「道路が太いほど大きな建物を建ててOK、道路が狭いほど建物を小さく制限する」という比例の仕組みにするために、幅員の数値(m)を直接掛け算しています。
2. なぜ「住居系=4/10」「それ以外=6/10」と数字が違うのか?
これは単純に「どれくらい混雑や日照を許容できる環境か」という街づくりの目的が違うからです。
① 住居系(4/10 = 40%)
- 目的: 住宅地は「日当たり」「風通し」「静けさ」「安全性」といった住環境を守ることが最優先です。
- 理由: 道路が狭い場所に大きなマンションなどを建てられると、周りの家の日当たりが悪くなったり、車が増えて危険になります。そのため、より厳しい数字(4/10)を掛けて建物を小さく制限します。
② それ以外(6/10 = 60%)※商業系・近隣商業・工業系など
- 目的: 商業地などは「賑わい」「経済活動」「利便性」を優先するエリアです。
- 理由: お店やオフィス、工場などは多くの人が集まる場所なので、ある程度高い建物を建てることを認める必要があります。そのため、住居系よりも緩やかな数字(6/10)が設定されています。
💡 記憶に定着させるストーリーまとめ
試験会場で思い出せるように、以下のイメージで頭にセットしておくのがおすすめです。
「道路が狭い(12m未満)と危ないから、道路の幅(m)を掛けて建物を小さく制限しよう!」
- 住環境を守りたい住居エリア ガッツリ抑えて 4/10(住居は慎重に4/10)
- ビジネス・商売優先のエリア 少し緩めて 6/10(ビジネスは6/10)
指定容積率と、この「道路幅 × 係数」を計算して小さい方の数値がその土地の限度(法定容積率)になる、と繋げておくと完璧です。

なぜ4と6なんですか?3とか7ではなく。
数字が「3や7」ではなく「4/10(40%)」と「6/10(60%)」に決められているのは、日本の一般的な道路(幅員4m)と、日本の標準的な敷地・建物のバランスから逆算された「建築技術・都市計画上の実用的な計算」に基づいているからです。
実生活の具体的な数字に当てはめると、なぜこの数字でなければならないのかがスッキリ見えてきます。
1. なぜ「住居系=4/10」なのか?
建築基準法では、家を建てるための道路の幅は原則「最低4m」と決められています。
もし係数を「3/10」や「4/10」にした場合、幅員4mの道路に面した土地の容積率はどうなるかを計算してみます。
- もし 3/10 だったら:4×(3/10) = 1.2(容積率 120%)
- これだと、一般的な2階建ての戸建てや小さなアパートを建てるのもギリギリになり、建物の設計が非常に厳しくなってしまいます。
- 実際の 4/10(40%)なら:4×(4/10) = 1.6(容積率 160%)
- 容積率160%あれば、一般的な敷地で「日当たりや風通しを確保した標準的な2階建て〜3階建ての住宅」が無理なく建てられます。
- もし 5/10 や 7/10 だったら:4×(5/10) = 2.0(容積率 200%)
- 4mという狭い道路沿いに、200%クラスの大きめのマンションや密集住宅がバンバン建てられてしまい、日照障害や防災上の危険が高まってしまいます。
つまり、「最低限必要な道路(4m)で、人が快適に住める標準的な家(160%)が建つギリギリのライン」として計算されたのが 4/10 なのです。
2. なぜ「それ以外(商業系など)=6/10」なのか?
商業地域や近隣商業地域は、お店やオフィスを建てる場所なので、住居系よりも建物を大きく(高く)する必要があります。
- もし 4/10 や 5/10 だったら:4m道路だと160%〜200%となり、住居と同じレベルになってしまい、商業地としての経済活動(店舗やオフィスビルの建設)が成り立たなくなってしまいます。
- 実際の 6/10(60%)なら:4×(6/10) = 2.4(容積率 240%)
- これにより、1階を店舗・上階を事務所やマンションにするような「3〜4階建ての雑居ビルや店舗付き建物」が建築可能になります。
- もし 7/10 や 8/10 だったら:4×(8/10) = 3.2(容積率 320%)
- わずか4mの道路に300%を超えるビルが立ち並ぶことになり、車がすれ違えないような路地に人が殺到して交通が完全にパンクします。
商業地としての利便性を確保しつつ、狭い道路が車や人でパンクしない限界のラインとして設定されたのが 6/10 です。
💡 理由のまとめ
この数値は気まぐれに決められたものではなく、「基準となる道路幅(4m)」に対して、
- 住居系(4/10): 容積率 160% 標準的な2〜3階建て住宅が建つちょうどいい数字
- 商業系等(6/10): 容積率 240% 店舗や中層ビルが建てられて、かつ道路がパンクしない限界の数字
という実務上のバランスから作られた「理にかなった倍率」となっています。

120%というのは、1.2階建てという意味ではないのですか?
結論からお伝えすると、「容積率120%=1.2階建て」ではありません。
ここを勘違いしてしまうと、法律がとても難しく感じられてしまいます。順番にすっきり整理しますね。
1. 容積率(120%)の本当の意味
容積率(ようせきりつ)とは、「土地の面積に対して、建物の部屋の床面積を全部足した合計が何倍までOKか」を表す割合です。
建物の高さ(階数)ではなく、すべての階の床面積の「合計」で考えます。
- 「100%」の場合土地の面積と同じ広さの床面積まで建てられます。例:100平方メートルの土地なら、床面積の合計は「100平方メートルまで」。
- 「200%」の場合土地の面積の2倍の広さの床面積まで建てられます。例:100平方メートルの土地なら、床面積の合計は「200平方メートルまで」。
2. なぜ「120%」だと2階建てがギリギリになるのか?
家を建てるときは、土地のフチいっぱいに建てて隣の家とくっつくのを防ぐため、「建ぺい率(土地に対して建物を上から見たときの面積割合)」という別のルールで「土地の50%〜60%くらいの大きさに抑えなさい」と決まっています。
仮に「100平方メートルの土地」で考えてみましょう。
- 1階の大きさを決める(建ぺい率 60%の場合)100平方メートルの土地なら、1階の床面積は60平方メートルまで建てられます。
- 2階を建てる(容積率 120%の場合)土地全体の120%までなので、1階と2階を合わせた「すべての床面積の合計」の上限は120平方メートルです。
- 計算してみると……上限の合計(120平方メートル)から1階の分(60平方メートル)を引くと、2階に使えるスペースは残り「60平方メートル」しかありません。
もし「1階:60平方メートル、2階:60平方メートル」で作ると、これでちょうどピッタリ120平方メートル(120%)を使い切ってしまいます。
3. 「ギリギリで厳しくなる」とはどういうことか?
120%という数字は、「1階と2階を全く同じ大きさに作って、ようやくギリギリおさまるレベル」の余裕のない数字なのです。
もし「車を停める駐車場が欲しいから、1階を少し狭くして、そのぶん2階や3階を広げたいな」「バルコニーや収納を大きくとりたいな」と思っても、合計120%の上限にすぐ引っかかってしまい、希望通りの間取りや使い勝手の良い2階建てを作ることがとても難しくなってしまいます。
そのため、一般的な住宅街では、設計にゆとりを持たせるために「容積率160%(土地の1.6倍の床面積までOK)」くらいがちょうど良い基準として設定されているのです。
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