建築基準法には、「第一種・第二種低層住居専用地域・田園住居地域内の建築物の高さは、原則として10m又は12mのうち、その地域に関する都市計画で定められた建築物の高さ制限を超えてはならない」とあります。良好な住宅環境を保護するために高さ制限をしていることは理解できるのですが、なぜ10m又は12mなのですか?

「10メートル」または「12メートル」という数字が選ばれている理由は、日本の住宅づくりにおいて「2階建て」や「3階建て」を建てるために必要な実際の建物の高さ(階高)が基準になっているからです。

一言でいうと、「一般的な住宅の階数をきれいに収めるための最低限の高さ」として計算された数字だからです。

具体的な理由は以下の2点に分けられます。

1. 10メートル=「ゆったりとした2階建て」の高さ

住宅を建てるとき、1つの階(床から上の階の床まで)の高さは、天井高や天井裏・床下のスペースを合わせると約3メートル必要になります。

  • 1階: 約3メートル
  • 2階: 約3メートル
  • 屋根の高さ・基礎の高さ: 約2メートル〜3メートル

これらを合計すると約8メートル〜9メートルになり、一般的な2階建て住宅がすっぽり収まります。

もし制限を「8メートル」や「9メートル」にしてしまうと、屋根を少し高く(三角屋根に)しただけでオーバーしてしまったり、基礎を高く作れなくなったりして設計が厳しくなってしまいます。

そのため、「どんなデザインの2階建てでも、ゆとりをもって建てられる高さ」として「10メートル」という基準が作られました。

2. 12メートル=「3階建て」や「屋根に勾配がある家」の高さ

一方で、3階建ての住宅を建てる場合はどうでしょうか。

  • 1階: 約3メートル
  • 2階: 約3メートル
  • 3階: 約3メートル
  • 屋根の高さ・基礎の高さ: 約2メートル〜3メートル

これを合計すると約11メートル〜12メートルになります。

つまり、12メートルまでOKにすると「ゆとりのある3階建て」が建てられるようになります。

また、北欧風の傾斜が急な屋根(三角屋根)にしたい場合や、水害対策で1階の床(基礎)を高く上げたい場合なども、10メートルだとギリギリですが、12メートルあれば余裕をもって建てることができます。

なぜ「10メートル」と「12メートル」の2種類があるのか?

その地域を「絶対に2階建てまでに抑えたい街」にするか、「3階建てまで認める街」にするかを、地元の自治体が都市計画で選べるようにするためです。

  • 10メートルを指定する地域:完全に「2階建て以下のゆったりした街並み」にしたい場合(厳しめの制限)。
  • 12メートルを指定する地域:敷地が狭い住宅街などで「3階建ての家も認めたい」という場合(少しゆるめの制限)。

まとめ

  • 10メートル: 2階建ての住宅を余裕をもって建てるための高さ
  • 12メートル: 3階建ての住宅や、屋根が高い家を建てるための高さ

このように、人間の生活に必要な「部屋の高さ」と「住宅の階数」から逆算して決められたのが「10メートル・12メートル」という数字です。

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