回答1
結論から言うと、ご質問の通り「仲介手数料を払っているのだから、媒介業者であるBが重要事項説明(重説)を行うのが普通」ですし、実務上もそのように運用されています。
しかし、法律(宅建業法)の立て付けとしては、「売主Aも媒介業者Bも、両方が宅建業者である以上、連帯してその義務を負う(どちらかがサボったら両方の責任になる)」という仕組みになっています。
なぜ売主Aもわざわざ説明義務を負うのか、その理由と法律の仕組みを分かりやすく解説します。
1. なぜ売主Aも「説明義務」を負うのか?
宅建業法は、「プロ(宅建業者)とアマ(一般の消費者)の取引において、プロがアマを騙したり、不利益を与えたりしないように保護する」ための法律です。
今回の登場人物の属性を整理すると、以下のようになります。
- 売主A: 宅建業者(プロ)
- 媒介B: 宅建業者(プロ)
- 買主: 一般の消費者(アマ)※業者間取引でないと仮定します
買主から見れば、売主Aも媒介Bも、どちらも「不動産のプロ」です。法律は、「プロが2人も関わっているのだから、2人とも全力で買主を保護しなさい」と考えます。「Bに任せたから、売主である自分は関係ない」という言い訳を認めると、万が一Bが適当な説明をしてトラブルになった際、買主の保護が手薄になってしまうからです。
そのため、宅建業法上は「共同不法行為」のような考え方に近く、「買主に対する重要事項説明の義務は、関与したすべての宅建業者が連帯して負う」というルールになっています。
2. 媒介業者Bが説明しないわけではない
「売主Aが義務を負う」というのは、「売主Aが自分の口で説明しなければならない」という意味ではありません。
ここが一番の誤解しやすいポイントです。
法律上の解釈:
業法第35条の義務は、**「宅建業者(AとB)が、取引の相手方(買主)に対して、宅地建物取引士をして重要事項を説明「させなければならない」**というものです。
つまり、媒介業者Bの取引士が買主に対してしっかり重説を行えば、「AとBが共同で課せられていた義務」は無事に果たされた(消化された)ことになります。媒介Bが説明した時点でAの義務もクリアされるため、売主Aがわざわざ自ら前に出てきて説明し直す必要はありません。
3. 実務と試験(法律)のギャップ
現実の取引(実務)と、宅建の試験(法律の原則)では、見え方が少し異なります。
実務での動き(ご指摘の通り)
お金(仲介手数料)を払っているのは売主Aですから、当然、物件の調査や重要事項説明書の作成・説明といった実務はすべて媒介業者B(の取引士)が丸投げされて行います。売主Aは、Bが作った重説の内容を確認するくらいです。
法律(試験)での扱い
もし媒介業者Bが重説を怠ったり、内容に嘘があったりした場合、行政処分や罰則を受けるのはBだけではありません。「売主Aも宅建業者としての義務を怠った」とみなされ、Aも一緒に処分を受ける対象になります。
まとめ
- なぜAも義務を負うの?
- 買主(消費者)を徹底的に保護するため、関わったプロ全員に連帯責任を持たせているから。
- Aが自分で説明しなきゃいけないの?
- いいえ。媒介B(の取引士)が説明すれば、Aも義務を果たしたことになるので、A自らが説明する必要はありません。
「お金を払っているんだからBがやるべき」という感覚は実務上100%正しいです。ただ、法律上は「万が一Bがトチった時は、プロである売主のあなた(A)も同罪ですよ」という厳しい連帯責任の縛りがかかっている、とイメージしていただくとスッキリ理解できるかと思います。厳しい連帯責任の縛りがかかっており、とイメージしていただくとスッキリ理解できるかと思います。
回答2
これは宅建試験でも混乱しやすいポイントですが、「重要事項説明義務を負う者」と「実際に説明する者」は必ずしも同じではないことを理解すると整理できます。
結論
宅建業法35条では、売主が宅建業者である以上、その売買契約について重要事項説明義務を負います。
たとえ他の宅建業者に媒介を依頼していても、その義務は媒介業者に移るわけではありません。(月刊不動産 | 公益社団法人 全日本不動産協会)
なぜ売主業者も義務を負うのか
宅建業法35条は、「宅地建物取引業者」が契約に関与する場合に、取引の相手方を保護するための規定です。
例えば
- 売主:宅建業者A
- 媒介:宅建業者B
- 買主:一般消費者
という取引では、
- 売主Aも宅建業者
- 媒介Bも宅建業者
なので、A・Bの双方が35条の説明義務を負うことになります。どちらか一方だけが責任を負う仕組みではありません。(月刊不動産 | 公益社団法人 全日本不動産協会)
では、説明は2回するの?
いいえ。
実務では、どちらか一方の宅建士が代表して説明すれば足ります。
もし同じ説明を2回しなければならないとすると、買主にも業者にも大きな負担になるためです。
ただし、説明を1回しか行わなくても、説明義務自体は双方の宅建業者にあります。 説明内容に誤りがあれば、関与した宅建業者は責任を負う可能性があります。(月刊不動産 | 公益社団法人 全日本不動産協会)
試験対策の覚え方
次のように覚えると整理しやすいです。
- 義務を負う者:取引に関与する宅建業者全員
- 実際に説明する者:宅建士(代表して1人でも可)
つまり、
「媒介業者がいるから売主業者の35条義務はなくなる」わけではない。
これが試験で狙われるポイントです。

?
普通は、売主が媒介を依頼した仲介業者が重要事項を説明する義務がありますよね?
他の業者に媒介を依頼しているのに、わざわざ売主自ら、重要事項を説明しなければならないのですか?
仲介業者にお金を支払ってるのだから、重説の説明義務があるのは、仲介業者ではないですか?
とても良い疑問です。実は、この点は「法律上の義務」と「実務で誰がやるか」を区別すると理解できます。
結論から言うと、
実務では、媒介業者(仲介業者)の宅建士が重要事項説明を行うことがほとんどです。
つまり、あなたの感覚は実務としてはそのとおりです。
ただし、宅建業法35条は、「媒介業者だけが義務を負う」とは書いていません。
35条の条文
35条は要約すると、
宅建業者は、宅地・建物の売買等の相手方に対し、契約締結前に重要事項を説明しなければならない。
となっています。
ここで「宅建業者」とは、
- 売主として取引する宅建業者
- 媒介する宅建業者
の両方が含まれます。
つまり、売主業者だから35条の適用がなくなるわけではありません。
では、売主業者の社長が説明に来るの?
いいえ。
例えば
- 売主:A不動産(宅建業者)
- 媒介:B不動産(宅建業者)
- 買主:一般人
という場合、
実際にはB不動産の宅建士が重要事項説明を行うことがほとんどです。
これは売主AがBに媒介を依頼しているからです。
しかし、「説明したのはBだから、Aには何の責任もありません」ということにはならない、というのが法律の考え方です。
なぜこんな制度なの?
理由は、売主業者は取引の当事者だからです。
もし、
「仲介業者が説明するから、売主業者には責任がない」
としてしまうと、
売主業者は
「説明は仲介がやったので知りません」
と言えてしまいます。
そこで35条では、売主業者も責任を負わせています。
試験ではどう考える?
試験では、
- 説明を担当することが多い人 → 媒介業者の宅建士
- 法律上、説明義務を負う宅建業者 → 売主業者も媒介業者も
という区別を問われることがあります。
なお、一点補足します。私の前の回答で「双方が35条の説明義務を負う」と説明しましたが、実務上は「誰が説明を実施するか」と「その取引について宅建業法上の責任をどう考えるか」を分けて説明すべきでした。
もし、この疑問が過去問から出てきたものであれば、その問題文を見せていただければ、「なぜ○か×なのか」を条文に沿って一緒に整理します。
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