宅建業法35条の重要事項の説明に関して、建物の貸借の媒介を行う場合、「当該建物について、石綿の使用の有無の調査の結果が記録されているときは、その内容」が、重要事項の説明事項となるのは、なぜですか。売買の時は理解できるのですが、賃貸のときにも必要な理由を教えて下さい。

実は、賃貸でも重要事項説明の対象となっている理由は、「所有権の取得」ではなく、「居住者の生命・身体の安全に関わる情報だから」です。

つまり、制度趣旨を考えると理解しやすくなります。

1. アスベストは「住む人」に直接関係するリスク

石綿(アスベスト)は、建物を所有しているかどうかではなく、

  • 建物を使用する人
  • 建物の中で生活・営業する人

に健康被害が及ぶ可能性があります。

例えば、

  • 吹付けアスベストが露出している
  • 改修工事でアスベストが飛散する可能性がある

という事情があれば、借主も健康リスクを負うことになります。

そのため、

「この建物にはアスベスト調査の記録があります。結果はこうです。」

という情報は、借主が契約するかどうかを判断する重要な材料になります。(住宅政策東京)


2. 借主にも契約するかどうかの判断材料が必要

重要事項説明は、

「その契約を締結するかどうかを判断するために重要な事項」

を説明する制度です。

売買ではもちろん、

  • 資産価値
  • 将来の修繕費

なども重要ですが、

賃貸でも、

  • 安心して住めるか
  • 家族を住まわせられるか
  • 店舗・事務所として利用できるか

を判断するために、アスベスト情報は重要です。

つまり、

「所有者になるかどうか」ではなく、「使用するかどうか」の判断にも必要な情報なのです。


3. なぜ「調査結果が記録されているときだけ」なのか

ここも試験で狙われやすいポイントです。

宅建業者には、

  • アスベスト調査を実施する義務

まではありません。

あくまで、

調査結果の記録が存在するときは、その内容を説明する

という義務です。

逆に、

調査記録が存在しなければ、

「調査記録はありません。」

と説明すれば足ります。

なお、「記録がない」ということは「アスベストが使われていない」という意味ではありません。(住宅政策東京)


宅建試験向けの覚え方

35条の重要事項説明におけるアスベストは、

「財産保護」ではなく「利用者(居住者)の安全確保」のため

と考えると、賃貸にも説明義務があることを理解しやすくなります。

したがって、売買・賃貸のどちらであっても、「建物を利用する人の契約判断に重大な影響を与える情報」であるため、重要事項説明の対象とされているのです。

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