「諾(ごんべんに若、言若)」という漢字は、「諾(だく」と読みます。
「諾」は「承諾」の「諾」です。諾成契約(だくせいけいやく)とは、
当事者の意思表示(「申込み」と「承諾」)が一致しただけで成立する契約です。
つまり、物を引き渡したり、お金を払ったりしなくても、約束した時点で契約が成立するということです。
具体例
例1:賃貸借契約
A「このアパートを月8万円で貸します。」
B「借ります。」
この時点で契約成立です。
まだ鍵を受け取っていなくても、契約は成立しています。
例2:売買契約
A「この自転車を3万円で売ります。」
B「買います。」
自転車やお金の受け渡しがまだでも、契約は成立しています。
要物契約との違い
諾成契約とよく比較されるのが要物契約です。
| 諾成契約 | 要物契約 |
|---|---|
| 約束だけで成立 | 約束+物の引渡しで成立 |
| 売買、賃貸借、使用貸借など | 消費貸借(原則)など |
例えば、お金の貸し借り(消費貸借)の原則では、
A「100万円貸します。」
B「お願いします。」
この約束だけでは成立せず、実際に100万円を渡して初めて契約が成立します(要物契約)。
試験での覚え方
「諾」は「承諾」の「諾」です。
つまり、
諾成契約=承諾(意思の合致)だけで成立する契約
と覚えると理解しやすいでしょう。
なお、現在の民法では改正により、使用貸借や消費貸借も書面による場合など例外がありますが、資格試験では「諾成契約か要物契約か」の区別について、どの時点の民法を前提としているか(改正前・改正後)に注意することが大切です。
現在の民法では、使用貸借は諾成契約です。
民法改正前と改正後の違い
ここが試験でよく問われるポイントです。
- 改正前:使用貸借は要物契約
- 「貸します」「借ります」という合意だけでは成立せず、実際に目的物の引渡しがあって初めて成立しました。
- 改正後(現行民法):使用貸借は諾成契約
- 「貸します」「借ります」という合意だけで契約が成立します。
- 引渡しは契約成立の要件ではありません。
具体例
A「来月から私の別荘を1年間、無料で使っていいですよ。」
B「ありがとうございます。借ります。」
この時点で、使用貸借契約は成立しています。
まだ鍵を受け取っておらず、実際に別荘を使い始めていなくても契約は成立しています。
試験で覚えるポイント
現在の民法では、次のように整理すると覚えやすいです。
- 売買 → 諾成契約
- 賃貸借 → 諾成契約
- 使用貸借 → 諾成契約(民法改正で変更)
一方で、消費貸借(お金などを借りる契約)は少し注意が必要です。現行民法では、原則として要物契約ですが、書面による消費貸借は合意だけで成立する諾成契約となります。
宅建試験では、この「使用貸借は改正により要物契約から諾成契約に変わった」という点がよく出題されるため、押さえておくと役立ちます。

コメント