宅建士の「意思表示」関係の問題の解説に「公序良俗に反する法律行為は無効である」とありますが、宅建士が関わる仕事で「公序良俗に反する」法律行為の例を挙げて下さい。イメージが浮かびません。

宅建士が関わる不動産取引において、「公序良俗に反する(民法90条)」とされる代表的な例は、主に以下の4つのパターンです。

1. 愛人関係(不倫)の維持・継続を目的とした不動産の贈与

「不倫関係を続けること」を条件にマンションを買い与える契約

  • 具体例: 既婚者が「これからも愛人関係を続けてくれるなら、このマンションをあげる」と契約して所有権を渡すケース。
  • 理由: 一方の配偶者を不当に傷つけ、道徳や倫理(善良の風俗)に著しく反するため、契約自体が最初から無効になります(※超有名判例)。

2. 反社会的勢力の拠点や犯罪に使われることを知りながら行う契約

暴力団事務所や違法アジトとして使うことを了解して貸す・売る契約

  • 具体例: 「暴力団の組事務所として使う」「特殊詐欺のアジトや違法賭博場として使う」と分かっているのに、賃貸借契約や売買契約を結ぶケース。
  • 理由: 地域の安全や公の秩序を破壊する行為に協力・加担することになるため無効です。

3. 他人を不当に陥れる・害する目的の取引(背信的悪意者のそそのかし)

第一買主に嫌がらせをする目的だけで、売主を説得して二重に買い取る契約

  • 具体例: AさんがすでにBさんに土地を売ったことを知りながら、Aさんと個人的に仲の悪いCさんが「Bに土地を渡したくないから、私に高く売ってください」とAさんをそそのかして土地を横取り(二重売買)するケース。
  • 理由: 単なるビジネス上の競争を超えて、相手を害する意図(背信性)が著しいため無効となります。

4. 相手の無知や困窮に乗じた過度な暴利行為

知識のない高齢者や生活苦の人を騙して極端な安値で買い叩く契約

  • 具体例: 相場1,000万円の土地を、知識のない認知症気味の高齢者から「この土地は価値がないから10万円で引き取ってあげる」と言って買い叩くケース。
  • 理由: 契約の自由の範囲を逸脱し、公の秩序(適正な取引環境)に反する暴利行為として無効になります。

宅建試験での重要ポイント

  1. 誰に対しても主張できる「絶対的無効」公序良俗違反で無効となった場合、善意の第三者(何も知らずに買った人)に対しても「その契約は無効だ」と主張できます。
  2. 「返して」と言えなくなる(不法原因給付・民法708条)例えば、愛人関係のためにマンションをあげてしまった場合、後から「公序良俗違反で無効だからマンションを返せ!」と裁判で訴えても、自分も悪いこと(不法な原因)をしたため返還請求が認められない(相手のものになってしまう)というルールがセットで存在します。

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