宅建業法35条に関して、宅建士の過去問に「宅建業者Aがマンションの分譲に際して行う重説の説明において、マンションの修繕積立金を特定の者にのみ減免する旨の規約の定めがある場合、Aは、買主が当該減免対象であるか否かに関わらず、その内容を説明しなければならない。」とあるのですが、この「マンションの修繕積立金を特定の者にのみ減免する旨の規約の定めがある場合」とはどんな場合ですか? 

この「特定の者にのみ減免する規約の定め」というのは、一言でいうと「マンションの住人の中で、一部の人だけ管理費や修繕積立金を安く(またはタダに)してもらえる特別なズルい…じゃなかった、特別なルールがある状態」のことです。

実務で登場する具体的な例を見ると、「なるほど、そういうことか!」と納得できるはずです。

具体的にはどんな場合?(3つの代表例)

主に新築マンションの分譲時や、地主さんが絡むマンションでよく見られるルールです。

① 分譲会社(売主)の売れ残り対策【一番多いケース】

新築マンションが完成したものの、いくつかの部屋が売れ残ってしまうことがあります。本来なら、売れるまでは所有者である「分譲会社」がその部屋の修繕積立金を代わりに支払わなければなりません。

しかし、規約に「未販売の住戸については、分譲会社は売れるまで修繕積立金の支払いを免除する」とこっそり書いておくケースがあります。これが一番の典型例です。

② 元地主さんへの優遇措置(等価交換)

もともとその土地を持っていた地主さんが、土地を提供する代わりに完成したマンションの部屋をいくつか貰って住むケース(等価交換)があります。

この際、地主さんへの特典として「元地主の〇〇さんが所有する部屋については、修繕積立金を半額とする」といった規約が作られることがあります。

③ 福祉的な減免措置(レアケース)

マンションによっては、高齢者や障がい者の方に対して「〇歳以上の単身高齢者世帯は免除」といった、自治体の減免制度のようなルールを独自に設けているケースもごく稀にあります。

なぜ「全員に」説明しなければならないのか?

問題文には「買主が当該減免対象であるか否かに関わらず」とありますよね。

自分が減免の対象者(例えば分譲会社や地主)なら説明が必要なのは当然ですが、関係のない一般の買主に対してもわざわざ説明しなければなりません。

その理由は、「一部の人がお金を払わないツケは、回り回って他の住民(買主)にシワ寄せが来るから」です。

マンションの修繕積立金は、全員がきっちり支払うことを前提に将来の修繕計画(大規模修繕など)が立てられます。

もし「分譲会社の売れ残り分は払わなくていい」というルールがあれば、その期間中、マンション全体の貯金箱(修繕積立金)に貯まるお金は予定より少なくなってしまいますよね。

そうなると将来的に、

  • 計画していた修繕工事ができなくなる
  • 足りない分を補うために、一般の住民の修繕積立金が突然値上げされる

といった実害が、一般の買主に降りかかる可能性が出てきます。

だからこそ法律は、「一部の人だけ得をして、将来的にあなたが損をするかもしれない重要なルールがあるけど、それでもこのマンションを買いますか?」と、すべての買主に事前にジャッジさせるために、全員への説明を義務付けているのです。

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