結論から言うと、「そもそも賃貸(借家・借地)の契約において、契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)という概念自体が存在しないから」です。
存在しないルールなので、37条書面(契約書)に記載する必要もありません。
「えっ、借りた部屋に雨漏りがあったらどうするの?」と思いますよね。なぜ賃貸にはこの責任がないのか、売買との根本的な違いを分かりやすく解説します。
1. 「売買」と「賃貸」の根本的な仕組みの違い
「契約不適合責任」というのは、「引き渡されたモノが、契約内容と違って欠陥品だった場合、売主が負う責任」です。これは、モノの所有権が完全に相手に移る「売買」だからこそ必要なルールです。
売買と賃貸では、欠陥(雨漏りなど)が見つかったときの解決方法が法律(民法)で全く別に用意されています。
🏡 売買の場合(所有権が移る)
売主は家を引き渡したら終わりです。その後、雨漏りが見つかったら、買主は「直して」「安くして」「契約を無しにして(解除)」と売主に責任を追及します。これが契約不適合責任です。
🔑 賃貸の場合(毎月お金を払って「借りる」)
賃貸の場合、大家さん(貸主)は、入居者から毎月「家賃」をもらう代わりに、「入居者が快適に暮らせる状態を、契約期間中ずっと維持し続ける義務(修繕義務)」を最初から負っています(民法第606条)。
そのため、もし入居した後に雨漏りが発生したら、入居者は「契約不適合責任だ!」と騒ぐ必要はありません。単純に「大家さん、家賃払ってるんだから、雨漏り直してください」と主張すればいいだけです(大家さんが直さないなら、自分で直してその費用を大家さんに請求することもできます)。
2. ないものは契約書(37条)に書けない
このように、賃貸トラブルはすべて大家さんの「修繕義務」という別のルールで解決するため、賃貸の契約において「契約不適合責任の内容」という項目自体が生まれません。
そのため、賃貸の37条書面(契約書)の記載事項には入っていないのです。
💡 試験対策の整理(35条と37条の比較)
この論点は、試験では以下のように整理しておくと絶対に迷わなくなります。
- 35条(重説): そもそも売買・賃貸に関わらず、契約不適合責任に関する独自の記載ルールがありません。
- 37条(契約書): 「売買」では任意的記載事項(定めがある場合は書く)ですが、「賃貸」では一切不要です。
覚えるためのワンフレーズ:
賃貸は、大家さんが「ずっと直す義務(修繕義務)」を負っているから、売買のような「引き渡し時の責任(契約不適合責任)」という概念そのものが存在しない!
「賃貸の大家さんは、引き渡した後もずっと面倒を見続けなければいけない」というイメージを持つと、なぜ書かなくていいのかがスッキリ納得できると思います。
コメント