宅建試験の過去問(2013年)の枝で「Aが死亡し、Aの妻Bと摘出でない未成年の子CとDが相続人となった場合に、CとDの親権者である母EがCとDを代理してBとの間で遺産分割協議を行っても、有効な追認がない限り無効である。(正解〇)」とあります。この解説に「親権を行う者が、数人の子に対して親権を行う場合、その一人と他の子の利益が相反する行為について、そに一方のために特別代理人の選任を家庭裁判所に依頼しなければならず、これに反する行為は無権代理行為となるから、有効な追認がない限り無効となる」とありますが、意味がわかりません。追認とは誰がしますか?CとDが赤ん坊ならどうなるのですか?CとDの代理をその母親Eができない理由はなんですか?

この過去問の枝は、法律用語が重なっていて非常にわかりにくい部分です。

なぜ母親EがCとDの両方を代理できないのか(利益相反)、そしてCとDが赤ん坊の場合はどうなるのかについて、疑問点を順を追ってわかりやすく解説します。

1. 母親EがCとDの両方を代理できない理由(利益相反とは?)

結論から言うと、「母親Eが一方の子(C)の味方をすると、もう一方の子(D)が損をしてしまう関係になるから」です。

遺産分割協議は、「誰がどれだけの財産をもらうか(ケーキの奪い合い)」を決める話し合いです。

  • もしEがCとDの両方を代理したら:母親Eひとりの胸三寸で、「Cに8割、Dに2割」という分け方を決めることができてしまいます。EがCを可愛がってCの取り分を増やせば、自動的にDの取り分が減り、Dの利益が害される(利益が相反する)ことになります。

このように、複数の子供同士で利益がぶつかる場合、ひとりの親が全員を代理することは法律上認められていません(民法826条2項)。

どうすればよかったのか?

母親Eは、CとDの「どちらか一方のため」に、家庭裁判所で「特別代理人」を選んでもらわなければなりませんでした(例:Cの代理人は母親E、Dの代理人は裁判所が選んだ弁護士など)。

これを怠ってEがひとりでCとDの両方を代理してしまったため、この遺産分割協議は「無権代理行為(勝手にした代理行為)」となり、原則として無効になります。

2. 「追認(ついにん)」とは誰がするのか?

「追認」とは、「無権代理(勝手)にされた契約だけど、内容に問題ないから有効と認めます!」と後から同意することです。

この追認を行うのは、「不利益を被るおそれがあった本人(CとD)」です。

CとDが赤ん坊(未成年)の場合どうなるのか?

ここが一番の疑問点だと思います。

  • 赤ちゃん(未成年の間):当然、赤ちゃん自身は「追認します」という判断ができません。では母親Eが代わりに追認できるかというと、利益相反の原因を作った当事者なのでEも追認できません。そのため、赤ちゃんの間の解決策としては、後から家庭裁判所に特別代理人を選任してもらい、その特別代理人が内容をチェックして「問題ない」と追認することになります。
  • 大人になった後(成年に達した後):CとDが18歳(成年)になった後であれば、成長したCとD本人が「当時の遺産分割でOKです」と自ら追認することができます。

追認がない限り、この遺産分割協議はずっと「無効(効力がない状態)」のままになります。

3. この問題のまとめ

  1. なぜEはCとDの両方を代理できない? ⇒ Cの取り分を増やせばDが損をするという「利益相反(取り合い)」になるから。一方には「特別代理人」が必要。
  2. ルールを無視してEが協議したらどうなる? ⇒ 無権代理行為となり、原則無効。
  3. 「追認」は誰がする? ⇒ CやD(または裁判所が選んだ特別代理人)が後から「その内容でOK」と認めること。

だから問題文の「有効な追認がない限り無効である」という記述は正解(〇)になります。

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