実は、賃貸でも重要事項説明の対象となっている理由は、「所有権の取得」ではなく、「居住者の生命・身体の安全に関わる情報だから」です。
つまり、制度趣旨を考えると理解しやすくなります。
1. アスベストは「住む人」に直接関係するリスク
石綿(アスベスト)は、建物を所有しているかどうかではなく、
- 建物を使用する人
- 建物の中で生活・営業する人
に健康被害が及ぶ可能性があります。
例えば、
- 吹付けアスベストが露出している
- 改修工事でアスベストが飛散する可能性がある
という事情があれば、借主も健康リスクを負うことになります。
そのため、
「この建物にはアスベスト調査の記録があります。結果はこうです。」
という情報は、借主が契約するかどうかを判断する重要な材料になります。(住宅政策東京)
2. 借主にも契約するかどうかの判断材料が必要
重要事項説明は、
「その契約を締結するかどうかを判断するために重要な事項」
を説明する制度です。
売買ではもちろん、
- 資産価値
- 将来の修繕費
なども重要ですが、
賃貸でも、
- 安心して住めるか
- 家族を住まわせられるか
- 店舗・事務所として利用できるか
を判断するために、アスベスト情報は重要です。
つまり、
「所有者になるかどうか」ではなく、「使用するかどうか」の判断にも必要な情報なのです。
3. なぜ「調査結果が記録されているときだけ」なのか
ここも試験で狙われやすいポイントです。
宅建業者には、
- アスベスト調査を実施する義務
まではありません。
あくまで、
調査結果の記録が存在するときは、その内容を説明する
という義務です。
逆に、
調査記録が存在しなければ、
「調査記録はありません。」
と説明すれば足ります。
なお、「記録がない」ということは「アスベストが使われていない」という意味ではありません。(住宅政策東京)
宅建試験向けの覚え方
35条の重要事項説明におけるアスベストは、
「財産保護」ではなく「利用者(居住者)の安全確保」のため
と考えると、賃貸にも説明義務があることを理解しやすくなります。
したがって、売買・賃貸のどちらであっても、「建物を利用する人の契約判断に重大な影響を与える情報」であるため、重要事項説明の対象とされているのです。
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