「すでに何千万円も営業保証金を供託して法務局に預けているのだから、その範囲内の手付金なら十分安全じゃないか」と感じますよね。
宅建業法第41条・第41条の2における「手付金等の保全措置」と「営業保証金制度(金銭等の供託)」の混同・勘違いに関する非常に典型的な疑問ですね。
多くの受験生がハマりやすいポイントですが、この2つは「全く別の目的・仕組み・手続」として法律上独立しています
営業保証金があるからといって、保全措置を講じたことにはなりません。
1. なぜ「営業保証金があるからOK」にならないのか?
理由は大きく2つあります。
① 営業保証金は「早い者勝ち(全員で取り合い)」になるから
営業保証金は、あなた1人の手付金だけを担保しているわけではありません。
もし業者Aが倒産した場合、Aと取引していた「他のすべての客(他の被害者)」が営業保証金から弁済を受けようと群がってきます。
- 例: Aが1,000万円を供託していても、被害額が合計3,000万円あれば、あなたの手付金は一部しか戻ってこない(または1円も戻ってこない)可能性があります。
つまり、手付金の額が営業保証金の枠内であっても、「あなたの手付金が100%確実に返ってくる保証」にはならないのです。
② 営業保証金はお金を出すまで「時間がかかる」から
営業保証金からお金を返してもらうには、還付手続きや審査など非常に複雑で時間がかかる手続きが必要です。
2. 「保全措置」とは、具体的に何をするのか?
手付金等の保全措置とは、営業保証金とは別に(追加で)、その取引のためだけに以下のいずれかを準備することです。
- 銀行等による「保証」(銀行が「Aが倒産したら代わりに手付金を払います」と約束する)
- 保険会社による「保険」(手付金保証保険に加入する)
- 指定機関による「等価保全」(完成物件の場合)
要するに、「万が一Aが倒産したら、銀行や保険会社が、他の被害者とは関係なく『あなたのためだけに』即座に手付金を全額返します」という個別の契約を事前に結ぶことが「保全措置」です。
まとめ
- 営業保証金:業者がお店を開くときにまとめて預けているお金。「他の客と共用」なので、倒産時に手付金が全額戻る保証はない。
- 手付金等の保全措置:その契約のためだけに銀行や保険会社を用意すること。「あなた専用の全額返金ガード」。
そのため、いくら営業保証金を供託していても、それとは別に「手付金を受領する『前』に、銀行や保険会社と保全の手続き(保全措置)を済ませておかなければならない」というルールになっています。
コメント