「表題登記(ひょうだいとうき)」と「所有権保存登記(ほぞんとうき)」は、登記簿(不動産のカルテ)を作る順番と目的がまったく違う2つの手続きです。
一言でいうと、「建物の生年月日や形を記録する物理的な登記(表題登記)」と、「誰の持ち物かを公にアピールする権利の登記(保存登記)」という違いがあります。
違いを整理して分かりやすく解説します。
1. 2つの登記の違い(比較表)
まずは全体像を掴むのが一番の近道です。
| 項目 | 表題登記(ひょうだいとうき) | 所有権保存登記(ほぞんとうき) |
| 目的 | 建物の物理的状況を記録する | 建物の**最初の所有者(権利)**を記録する |
| 記録する内容 | 所在、家屋番号、構造、床面積など | 「所有者:甲野太郎」などの氏名・住所 |
| 登記簿の場所 | 登記簿の**「表題部」** | 登記簿の**「権利部(甲区)」** |
| 申請義務 | あり(1か月以内) | なし(任意) |
| 罰則 | 違反すると10万円以下の過料 | なし |
| 主な専門家 | 土地家屋調査士 | 司法書士 |
2. 具体的なイメージ(人間でいうと?)
- 表題登記 =「出生届」赤ちゃんが生まれたら、「男の子/女の子」「身長・体重」「生年月日」などを市役所に届け出ますよね。これらは事実の記録であり、届出は国民の義務です。これが表題登記です。
- 建物が完成したら、「木造2階建て」「床面積100㎡」といった建物のプロフィールを法務局に登録します。
- 税務署(固定資産税の課税のため)や法務局が建物を把握する必要があるため、「取得から1か月以内にしなければならない」という強い義務になっています。
- 所有権保存登記 =「マイナンバーカードやパスポートを作る」「この人間は私ですよ」と権利や身分を証明するためにカードを作ります。作るかどうかは個人の自由(任意)ですが、作っておくと社会的信用が得られます。これが所有権保存登記です。
- 建物に「一番最初の所有権のスポットライト」を当てる登記です。
- 義務ではありませんが、これをやらないと「住宅ローンが組めない(抵当権を設定できない)」や「第三者に『俺の家だ!』と主張(対抗)できない」というデメリットがあるため、現実の取引ではほぼ100%行われます。
3. なぜ試験問題の解説で「保存登記ではない」と強調されるのか?
宅建試験では、この「義務の有無」をひっかけ問題として超頻出で狙ってきます。
- 表題登記: 建物の物理的な状況を把握するため「1か月以内の申請義務あり(〇)」
- 所有権保存登記: 個人の権利を公示するものなので「申請義務なし(任意・✕)」
💡 ひっかけ問題のパターン
✕「新築した建物の所有権を取得した者は、その取得の日から1か月以内に、所有権の保存登記をしなければならない。」
⇒ 誤り! 1か月以内にしなければならないのは「表題登記」です。所有権保存登記は任意です。
まとめ
- 家が建ったら、まず物理的なプロフィールを載せる「表題登記」を1か月以内にやる(義務)。
- その後に、自分の権利を守るための「所有権保存登記」を必要に応じてやる(任意)。
この「順番」と「義務の有無」を押さえておけば、不動産登記法の問題で迷うことはなくなります!
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